結論:人工甘味料は、ダイエットや健康管理の強い味方
私は8年ほど病院で勤めていました。その中で色んな病気の患者さんと出会い、そして色んな苦しみに直面しました。
6年前に勤務した医療病棟での話。
40代の男性(Ⅱ型糖尿病、体重97kg)は、3日後の誕生日に「ケーキが食べられない…」と悩んでいます。
糖尿病だから我慢しろ、デブは甘えって?それは酷な話ですよ。
なにしろ彼は、家族と同じ食事すらできないんです。せっかくのお祝いなのに、奥さんや10代の娘さんとは別の味気ない制限食を食べるしかありません。なので「自分がいたら、娘にまでケーキを我慢させてしまう」と、お祝いの席を拒否していました。
さて、結局どうなったか?
糖尿病の男性は、3人の家族全員とバースデーケーキや甘いコーヒーでお祝いをすることが出来ました。
奇跡的に糖尿病が治った?
3日間でダイエット成功?
いいえ。
ここで登場するのが、この記事でお話しする人工甘味料です。
●この記事を書いた人
32歳 元医療職 じゃんぼさん
「エリスリトールでコーヒーを飲み、羅漢果(ラカンカ)でケーキを作る。時々、砂糖たっぷりのドーナツも食べてしまう!」
このページで分かること
- 人工甘味料はダイエットに有効か?
- よく話題にあがる、7つの人工甘味料[危険か安全か]
糖尿病の男性がどうなったか?
それもこの先でお話します。
人工甘味料はダイエットに有効か?
結論:もちろん有効です。
『太る仕組み、痩せる仕組み』で書いた通り糖質が太る最大の原因なので、血糖管理に役立つ人工甘味料は、ダイエットの強い味方だと言えます。
これまでのダイエットには、つらい食事制限が必須でした。たとえ痩せたとしても、リバウンドを恐れながら味気ない制限食やサラダチキンをほおばる日々が続きます。
しかしこれからはノンストレスで減量する時代です。エリスリトールや羅漢果(ラカンカ)を砂糖の代わりに使い、また低糖質スイーツやゼロカロリー飲料を取り入れるといった、賢いダイエットが求められます。
でも、それって個人の感想じゃない?
確かにその通りです。
では、痩せる根拠を見てみましょう。
2014年に『Obesity(オビ―シティ)』という雑誌に掲載された論文が、特に信ぴょう性が高いです。303人の男女を対象に、水またはNNS(非栄養性甘味飲料)を使用して、12週間の減量プログラムに参加してもらったという内容です。
結果はこちら▼
2つの治療法は同等ではなく、NNS飲料治療群は、12週間後に水群と比較して有意に多くの体重を失いました(5.95kg対4.09kg; P <0.0001)。NNS飲料グループの参加者は、12週間の間に、水グループの参加者よりも主観的な空腹感の大幅な減少を報告しました。
参考:Obesity 2014,22巻,6号1415-1421
つまり人工甘味料のドリンクを飲んだグループのほうが、
- -1.86kgのダイエット効果があった
- より空腹感を感じずに過ごした
ということになります。
※上の論文はオープンソースなので、どなたでもご覧になれます。英文なので日本語変換機能を活用してください。(PCなら「右クリック→日本語に翻訳」スマホなら「右上の三点のアイコン→翻訳」)
2022/9/7 追記
「おいしい甘味料を使ってみたい!」という方のために、こちらのページを用意しました。
ステビア(粉末)はダイエットに便利な天然甘味料です▼
人工甘味料は危険?安全?[実は口にしている7つを紹介]
「人工甘味料って体に悪いんでしょ?」
「発がん性があるって聞いた!」
という人のために、明確なエビデンスがある7つの人工甘味料を紹介します。
これらの情報が根拠のない恐れを無くし、あなたの心のトゲ抜きになれば幸いです。
ダイエットや健康管理に使いやすい人工甘味料も紹介しています。
代表的な 7つの人工甘味料
ひと口に人工甘味料と言っても、たくさん種類があります。
代表的なのは以下の7つです。
- サッカリン
- アステルパーム
- アセスルファムK
- スクラロース
- ステビア
- エリスリトール
- 羅漢果(ラカンカ)
※青は一般的によく口にするもの。赤はさらに私が個人的にも使っているもの。
※分かりやすさを優先したので、7つとも人工甘味料と表記しています。正確な分類はこちらの記事が分かりやすいです。
青枠の人工甘味料[多くの人が口にしている]
あなたは、ゼロカロリー飲料を飲んだことがありますか?では、ガムを嚙んだことは?あまーい九州の甘口醤油でお刺身を食べたことは?
それらには以下の4つ人工甘味料の内、いずれかが含まれていることが多いです。
- サッカリン
- アステルパーム
- アセスルファムK
- スクラロース
ここで紹介する人工甘味料は、ほとんどの人が10代までに口にしたことがある物です。
人工甘味料はイメージで語られがちですよね。
現にこれを読んでいる人の何%かは半信半疑でしょう?
なので、安全性の根拠となるデータを知っている限り挙げてみました。
サッカリン
令和4年現在だと、サッカリンは非常にレアな人工甘味料のひとつです。今でも一部の甘口醤油に含まれています。1977年3月には「発がん性がある」と話題になり、アメリカで販売中止になりました。
サッカリン叩きの原因となったカナダの研究は、ラットにサッカリン5%入りのドリンクを飲ませたところ膀胱がんが見られたというものです。サッカリン5%を具体的に言うと、ラットの体重1kgあたり2500mg、人間で言えば、毎日800本以上のドリンクを飲ませるという無茶なもの。
結果 サッカリンは、同年11月にアメリカで販売再開されました。
以上が、悪いイメージひとつで大事件が起きるという一例です。このページで紹介する残り6つも、同じようにイメージで語られがちな人工甘味料です。
・参考
『TheSaccharin Saga – Part3』
『chemistry Viewsの連載エッセイ「サッカリンの物語」第3話/米国を揺るがした1970年代の発がんリスク騒動』
アステルパーム
アステルパームを代表とする多くの人工甘味料は、天然に存在しない調味料として批判されることがあります。また事実としてアステルパームの消化過程では、有毒なメタノールが発生することも確認されています。
しかし、FDA(アメリカ合衆国食品医薬品局)の審査では、調味料として普通に使う量は微量であるため、健常人であれば、急性毒性や慢性毒性の問題は起こらない
と判断されています。
では、アステルパームの1日許容消費量はどのくらいか?というとFDAでは「1日に約2g」とされています。具体的には、ゼロカロリー飲料で7.5缶/日。毎日7本以上飲む人は、非常にまれなので、気にしすぎてもしょうがない程度だと考えられます。
・参考
『Aspartame: A Safety Evaluation Based on Current Use Levels, Regulations, and Toxicological and Epidemiological Studies』
『Evidence-Based Nutrition Principles and Recommendations for the Treatment and Prevention of Diabetes and Related Complications』
スクラロース
甘味料にもそれぞれに違う味わいがあります。5年前、試供品として人工甘味料をいただいて食べ比べをしたところ、スクラロースはショ糖に似た味がしました。ショ糖とは黒糖よりも薄茶色の甘味料です。
ちなみに味に関して大東製糖株式会社によると、ショ糖は人間が甘いと感じる物質の中で、クセや嫌味がなく最も好ましい甘さをもつ物質と言われています
とのこと。スクラロースがそれに似ているなら、より自然な味覚に近い人工甘味料とも考えられます。
また1日の上限に関しては厚生労働省の薬事・食品衛生審議会資料に詳しくのっています。「細かすぎる」というなら、ロカボ公式サイトの「体重60kgの人が、毎日1ホールの低糖質ケーキを食べる量に相当します。」という表現が分かりやすいです。
つまり、スクラロースの上限は気にするほどの量ではないということです。
・参考
『大東製糖株式会社 砂糖のキソ知識[プロ向け]』
『ロカボ 知っておきたいキーワード集』
アセスルファムK
人工甘味料でよく問題とされるのは「1日にどれくらい食べると危険か?」です。1990年に発表されたWHO合同食品添加物専門家会議の評価によると、アセスルファムKは「0~15mg/kg体重/日」が上限とのこと。
ちなみに、砂糖は1日に約25g(角砂糖6個ほど)となっています。それに比べるとアセスルファムKの上限は、極端なほど低く見えます。例えば体重60kgの成人なら、最大0.09gが1日の上限となるので。
「やっぱり体に悪いから沢山食べられないんだ!」と結論づけるのは早いです。なぜなら、人工甘味料はほんの少しで甘味を感じられるからです。厚生労働省の調査によると、アセスルファムKは砂糖の200倍の甘味を感じるそうです。
例えばコーヒーに甘味をつけるとして、角砂糖1個(4gほど)で満足できる人なら、アセスルファムKは0.02gほどで良い計算になります。ただし、あくまでも人の感覚なので、気になる方は自分で試すことをおすすめします。
・参考
『日本食品化学研究復興財団 薬事・食品衛生審議会資料』
『e-ヘルスネット 口と歯の健康:虫歯』
赤枠の人工甘味料[ダイエットにも最適]
「ダイエットしたいから、砂糖の代わりになる甘味料を使いたい!」という人は少なくありません。私自身も以下の3つを好みによって使い分けています。
- ステビア
- エリスリトール
- 羅漢果(ラカンカ)
3つそれぞれのエビデンスを紹介しつつ、味のレビューもしていきます。
ステビア
あまり知られていませんが、ステビアは1年のうち夏~秋にかけて白い花が咲く、キク科の多年草です。人工甘味料の中でも特に甘味を感じやすいので、ゼロカロリー飲料や流行のプロテインによく含まれています。
またステビアの安全性に関しては、数えきれないほどの臨床データが揃っています。例えば2003年のヒトとラットを対象とした実験。ステビアは体内に吸収されず、腸内細菌によって分解されて体外に排出されるそうです。元々は天然由来の成分なのも、安心できる要素のひとつ。
ただし「後味が苦手…」という声もあります。試しにGoogleで検索すると、611,000件(2022/07/16現在)のサイトがヒット。実際に使ってみると、甘味の中に若干の苦さがありました。コーヒーには合うけれど、ヨーグルトには絶望的に合わない。味覚に関しては個人差があるので、好き嫌いがはっきり分かれるのがステビアという甘味料です。
なので別の甘味料を試したい場合は、後述のエリスリトールや羅漢果(ラカンカ)が癖もなくおすすめです。
・参考
『守田化学工業株式会社 ステビアとは』
『Absorption and metabolism of glycosidic sweeteners of stevia mixture and their aglycone, steviol, in rats and humans』
エリスリトール
エリスリトールはこのページで挙げた7つの中でも、特に安全性が保障されている人工甘味料です。FDAやJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門委員会)では「上限を設定する必要がない」とされているほど。
ちなみに人工甘味料の中でも、糖アルコールという枠組みになります。
さて、エリスリトールは甘味を感じづらく、厚生労働省の調査によると砂糖の0.8倍だそうです。実際に食べてみると確かに甘さが足りません。なので私は、ステビアとエリスリトールを半々に混ぜた商品を選んでいます。
個人的なおすすめはnichie ステビアスイートナー 950gです。安くて手軽、また良くも悪くも平凡な味が最大の特徴。コーヒーに入れたり、きんぴらごぼうの味つけにしても問題ありませんでした。
・参考
『オレオサイエンス 2013 エリスリトール』
『e-ヘルスネット 口と歯の健康:虫歯』
羅漢果(ラカンカ)
2021年11月にはハーバード大学医学部が「砂糖よりも健康的である」と発表しました。それが羅漢果です。
原料は中国で産出されるウリ科の植物で、これも羅漢果と言います。甘味料として流通しているものは基本的に粉末で、果実自体は日本じゃあまり見かけません。
味に関しての情報を見ると、女性人気が高い様子。私自身の経験だと、紅茶やヨーグルトの味付けにちょうど良かったです。ちなみに私はセイコー 羅漢果顆粒箱 500gを使っています。
また、見た目はコーヒー豆か漢方薬。しかし舐めてみるとサラッとした自然な甘みで、匂いは砂糖よりもザラメや黒糖に近いです。
・参考
『ラカントS 羅漢果とは』
『Harvard Health 2021 Are these “healthier” choices really better for you?』(月額4.99$で購読できます。ご興味ある方はどうぞ。)
まとめ:今、人工甘味料が必要なヒトたち
「人工甘味料は怖い、危険ですよ!」という話は、すぐに広まります。危機感をあおるので話題性バツグンだからです。
しかし何でも禁止にする論では誰も救われません。仮に「人工甘味料は肥満治療に効果あり!」という論なら、今まさに困っている人の助けになるでしょう。
私は病院に勤めるうちに、人工甘味料で救われた患者さんをたくさん見ました。この記事の冒頭でお話した、糖尿病の男性もその一人です。
ちなみに男性が食べた誕生日ケーキは、ステビアとエリスリトールで味付けされたガトーショコラでした。
私も試食させていただき「普通にケーキじゃん」と驚いたものです。
もしあなたが人工甘味料を使ってみたいなら、まずはエリスリトールか羅漢果(ラカンカ)をおすすめします。安くて手軽、またクセのない味わいなので違和感なく使えます。
最後にもう一度。
人工甘味料は、ダイエットや健康管理の強い味方です。
この記事が、全国で困っている人の朗報となることを願って。
以上!
じゃんぼブログでした!
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